基礎神経科学や脳イメージング技術を活用するAll Here瞑想研究所では、 「瞑想と競技、一見まったくかけ離れたものに見えるが、このふたつの世界が、ジュネーブのアール・ヌーヴォー様式の建物の中で重なり合うのである」
こう書き出したのは、Aargauer Zeitung紙の科学担当記者ステファニー・シュナイドリッヒ氏です。この記事では、WMLとAll Here ジュネーブが共催した、瞑想を競技として扱う初の試みに対して、スイスのメディアがどのように報じたのかが紹介されています。取り上げられたテーマは、誰が最も深い瞑想状態に到達できるのかという点でした。
これは東京瞑想チャレンジへと続く美しい序章でもあります。東京での取り組みについては、続報をどうぞお楽しみに。
Aargauer Zeitung紙「瞑想を測定する」特集のご紹介
シュナイドリッヒ氏は、All Hereが瞑想科学の領域をどのように広げているのかを、取材を通して丁寧に描いています。記事では、熟練の瞑想者たちが、どれだけ深い瞑想状態に到達できるかを競い合ったジュネーブ瞑想チャレンジの様子が、生き生きと伝えられています。
参加者の脳活動は、瞑想指数や、64電極のEEGキャップで得られる複数の指標とともに記録され、リアルタイムで表示されました。瞑想が可視化され、測定可能な体験として示されたのです。
クリストフ・ミシェル教授は「驚くべきことです。人はわずか数秒で深い瞑想状態に入り、そのまま維持することができますが、初心者と熟練者では表れ方こそ異なるものの、脳波のパターンは非常に似ているんです」と語っています。中には、深い睡眠時や麻酔下で見られるパターンにまで達しながらも、意識は完全に覚醒し、集中を保っている参加者もいました。
シュナイドリッヒ氏も瞑想ホールに入り、EEGキャップを装着して瞑想を体験しました。その後、自身の脳活動のレポートを確認し、リアルタイムで科学を実感する瞬間となりました。
さらにミシェル教授へのインタビューでは、教授が瞑想の科学的背景を語り、シュナイドリッヒ氏の体験を、自己認識や注意力、意識状態の変化に関する神経科学と結びつけて解説しています。
シュナイドリッヒ氏とミシェル教授の対話では、瞑想が注意力や自己認識を高め、マインド・ワンダリングを抑えるという、All Hereの研究成果が取り上げられています。また、私たちはミリ秒単位で変化する「マイクロステート」や「思考の最小単位」と呼ばれる現象を観測しており、その安定性が、瞑想が心にもたらす効果を示しています。
こうした知見は、インタビューでも語られているように、今後のADHD治療に関する研究へとつながる可能性を秘めています。注意力の持続や記憶力の向上に加え、アルツハイマー病の予防にも役立つ手がかりが見えてきています。
Read the full article and in-depth interview with Prof. Christoph Michel (in German) in Aargauer Zeitung